科学技術振興機構「さくらサイエンスプログラム」によりバングラデシュ農科大学(バングラデシュ)・トンニャット病院(ベトナム)と体験交流を行いました。

公開日 2025年02月26日

 島根大学医学部解剖学講座(神経科学)は、2025年2月3日から2月9日の7日間、バングラデシュ農科大学(バングラデシュ)およびトンニャット病院(ベトナム)から8名の学生および医師を受け入れ、体験交流を行いました。本プログラムは、同講座の藤谷昌司教授が国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「国際青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)」の採択を受け、「ベトナム・バングラデシュの若手学生・研究者・医師が、神経科学の最新研究を学ぶ体験交流プログラム」をテーマに掲げ行われたものです。
 ベトナムやバングラデシュなどの東南アジア・南アジアの新興国は、急速な経済発展を遂げているものの、基礎研究のなかでも神経科学を専攻する研究者が非常に少ないことから、藤谷教授は、神経科学の先端研究に触れる機会を島根大学でもうけ、将来のベトナム・バングラデシュでの神経科学研究の発展を目指して本交流計画を立案しました。また、それぞれの送り出し機関の担当者であるNgo Xuan Huy 歯科医師とRaihana Nasrin Ferdousyバングラデシュ農科大学准教授が受け入れをコーディネートしました。

 まず、プログラムの開始初日には、藤谷教授により、神経解剖学についてのレクチャーが行われました。また午後から、動物実験施設での見学実習のための動物実験に関する講習をTarif Abu Md Mamun助教が行い、動物実験施設を見学しました。

報告書図1.2(高解像度)

プログラム初日(2025年2月4日)に実施したセミナーの様子(上段、下段左)と、動物実験施設見学の様子(下段右)

 

 プログラム2日目には、藤谷教授より、顕微鏡および組織学についてのレクチャーが行われ、最終日にプレゼンテーションを行うactive learning形式での体験実習である旨説明がありました。その後、クライオスタットを用いての薄切や免疫染色法の見学実習を行い、顕微鏡を用いた脳切片の撮影実習が行われました。雪の中、歓迎会兼誕生会が開催されました。

報告書図2

プログラム2日目(2025年2月5日)に実施した実習の様子(上段左:クライオスタットによる薄切の見学、上段右:免疫染色法の見学、下段左:招へい者が共焦点レーザー顕微鏡を用いて撮影を実際に行っている様子)とTarif氏の家での歓迎会兼藤谷教授の誕生会の様子(下段右)

 

 プログラム3日目は、午前中は、顕微鏡撮影やプレゼンテーションの資料作りが行われました。午後から、4名の中国人の島根大学の大学院生が加わり、交流会が行われました。組んだパートナーを他己紹介するというアイスブレークを行い、相互理解を深めました。また、解剖学講座(神経科学)の研究室の大学院生による研究内容についての発表があり、日本への留学や、研究室について質疑応答が行われました。

報告書図3

プログラム3日目(2025年2月6日)に実施した交流会の様子(左:他己紹介のため、相手の情報を聞き取っている様子。右:大学院生による研究発表と質疑応答)

 

 プログラム4日目は、午前中は、プレゼンテーション資料作りが行われ、午後からは、自己紹介と島根大学で学んだことや研究テーマである脳部位について発表がありました。peer 評価を行い、即座にフィードバックすることで、プレゼンテーションの質を高める工夫をディスカッションしました。最も優れたプレゼンテーションを行ったチームを表彰し、最後に全員の修了式を行いました。

報告書図4

プログラム4日目(2025年2月7日)に実施した発表会と修了式の様子(上段左:Vietnamグループの発表、上段右:Neuron BDグループの発表、中段左:Izumoグループの発表、中段右:Nucleusグループの発表、下段左:最優秀プレゼンテーショングループの発表と、修了式の様子、下段右:修了式後の集合写真

 

 寒波が到来し、大雪のため2月8日のプログラムは変更を余儀なくされましたが、大学内での実習は無事完遂することができました。