公開日 2019年12月04日
島根大学では、2019年11月を「島大グローバル月間」として、学内で様々な国際交流イベントが行われています。このイベントの一つとして、留学生に出雲地方の伝統文化に直に触れてもらおうと、出雲大社の門前町にある手錢記念館へのツアーが行われました。この企画は、5月に同館と島根大学が包括的連携に関する協定を結んだことにより、国際交流センターと協定締結に関わった附属図書館、法文学部山陰研究センターが共に企画・実施したものです。ツアーは、国際交流センターの楊小平先生とシンプソン・キャサリン先生の引率のもと、中国、ベトナム、インドネシア、ベナン、マレーシア5カ国から5名の留学生が参加し、美術工芸品の鑑賞やお茶席を楽しみました。
江戸時代から商家を営み、松江藩の御用宿も務めた手錢家には、多数の美術工芸品が伝わり、敷地内に併設された手錢記念館で展示・公開されています。最初に参加者たちは、記念館で開催中の布志名焼の特別展を、佐々木杏里学芸員の解説を聞きながら鑑賞しました。布志名焼は、大名茶人として知られる松江藩七代藩主の松平治郷(号:不昧)の庇護のもと発展した窯で、明治以降、海外のデザインや技法を取り入れて輸出陶器に力を入れました。参加者たちは、母国や西洋の焼き物と比較しながら、伝統に根ざしつつもそれを乗り越えようとして発展した布志名焼の作品を楽しみました。
次のハンズインセッションでは、佐々木学芸員の指導により、美術品を保管する木箱に掛ける紐の結び方を体験したり、日本刀(脇差)の拵え(刀装具)を実際に手にとって、施された装飾を間近に鑑賞しました。参加者たちは、実際に手に持ってみることで、その重さと質感を確かめていました。
手錢家の和室では、和服を身にまとった手錢家の奥様のお点前で和菓子と抹茶を楽しみました。参加者が一人一人自己紹介をし、ご当主の手錢白三郎氏が、留学生たちに英語で話しかけて場を和ませました。参加者たちは、終始くつろいだ雰囲気の中で、日本の伝統文化を体験することができました。最後に、参加者の一人が感激した面持ちで、今日の体験は非常に興味深い体験であり、母国に帰ったのちにこの体験を伝えたい、と語りました。