新春インタビュー:海外で活躍する島根大学関係者

2019年2月13日

 島根大学は中国の寧夏とインドに教職員を派遣しています。今回,一時帰国されているお二人に現地の話を聞きました。

 

日時:123日(水)
出席者:島根大学寧夏大学国際共同研究所 田中 奈緒美 研究員
    島根大学国際交流センター(コチ理工大学派遣) 清水 美希 特任助教
(司会) 国際交流センター 青 晴海 教授

 

(司会)本日は,島根大学から海外の大学に派遣されている方々にご出席頂き,現地の様子を伺いたいと思います。今回は,中国とインドの大学に派遣されている2名の方々の帰国にあわせ,インタビューを設定させていただきました。さて,それでは,現在派遣されている地域や大学について伺います。 

(田中)寧夏は西安の北,内モンゴルに隣接する中国内陸部の自治区です。寧夏回族自治区という名前の通り,回族(イスラム教徒)が約30%を占める,多文化社会です。自治区の中心都市である銀川はイスラムの雰囲気のある情緒ある町です。寧夏大学は,同自治区最大の総合大学で,同自治区出身の学生が多いのが特徴となっています。

(清水)コチはインド南部のケララ州にある都市で,同州の経済の中心地です。インドはヒンドゥー教と思われがちですが,ここでは,キリスト教,イスラム教,ヒンズー教がそれぞれ,一定の割合で住んでいます。コチ理工大学は州立の理数系総合大学であり,学生は全土から集めてられています。



(司会)それぞれ,全く異なった環境の中で勤務されていますが,現在の業務はどのようなものでしょうか

(清水)中海・宍道湖・大山圏域市長会と島根大学が連携した「インド人材確保・企業連携事業」の一環として,島根大学からコチ理工大学に派遣されています。現地では,島根大学と連携協定を締結している3大学の学生を中心に,島根大学への短期留学を予定している学生に対する集中日本語講義や,コチ理工大学での公開日本語講座を担当しています。

(田中)寧夏大学内にある国際共同研究所において,島根大学の研究者と中国西部地域研究者の学術交流支援,日本ではあまり情報がない中国西部地域の地域状況に関する情報発信,更には学生や教職員に対する研修を通じた人材育成などを行っています。

 インタビューの様子

左:清水特任助教 右:田中研究員                                                                                    

 (司会)派遣されている学生はどのような気質ですか。


(田中)自治区内からの学生が中心の大学であるため,全体として,素朴でのんびりした雰囲気です。また,儒教の影響か,先生の話をよく聞く真面目な学生が多いです。中国では親の意見がとても重要で,大学選びや,就職,結婚まで,親の意見が強く反映されます。特に,回族の家庭は,親が子供を近くに住まわせたい,都市部は食(ハラルフードの有無)の問題があり住みづらいと考えている,といった傾向が見られます。

(清水)一般的に上昇志向が強い気質です。公開講座で日本語を教えているのですが,勉学への意欲が強く,質問もかなりでます。他方で,プライドも高いといえるかもしれません。学生のモチベーションとして,キャリア形成が非常に重要です。自分のキャリア形成のための努力は惜しみません。インドも中国と同様に,親の意見が重要で,進路への意思決定に大きく反映されます。



(司会)学生や一般の方々の日本への関心はどうでしょうか。

(清水)これまで,海外留学や就職というと米国や英国が最も人気ある国でしたが,ここ数年,米国へのビザの発給が制限されています。そこで,日本が新たなフロンティアとして注目されています。日本に対しては、アニメや漫画といったサブカルチャーに関心をもつ人もいる反面、一般の方々には高品質な日本製品、勤勉な国民性といったことが広く知られています。インドの学校では広島・長崎についての勉強も行います。そこでは,日本は焼け野原から復興を遂げた国であるという、ある種の尊敬もうかがえます。ケララ州では日本語教育への関心が全くないわけではありませんが,日本語教員数は少なく,たとえ日本語を勉強したくてもなかなかその機会に恵まれないのが現状です。
清水先生                     清水特任助教

(田中)現在の中国では,日本の生活文化などに関する情報が普及しているので,イメージはそれほど悪くありません。特に寧夏では,日本といえば島根,というほど,島根県の知名度が高いです。これは,長年にわたり,島根県をはじめとする自治体間の友好関係があることが背景となっています。学生の日本留学に対する関心はとても高いのですが,経済的な問題があり,留学を実現できる学生は限られた数となっています。



(司会)島根大学の学生が派遣地域に留学した場合,そこで経験して欲しいことはなんですか。

(田中)寧夏は乾燥地域なので,日本とは自然環境がかなり異なります。自治区北部は砂漠,南部は黄土高原で,年平均降水量は300mm程度しかありません。そのため,春の風が強い時期には砂嵐が起こり,黄色い巨大な雲のような土煙が町をすっぽり覆い,20分程度視界が全く効かない状況となることもあります。その一方で,自治区内には黄河が流れており,その恩恵によって,銀川市周辺では稲作を中心とした農業も盛んで,街には緑が溢れています。そのような環境に合わせた日本とは異なる生活様式や,砂漠化防止など自然と共存するための取り組みについて,ぜひ現地で体験して欲しいと思います。景色で言えば,砂漠の中に忽然と現れるオアシスは一見の価値ありです。そこでは,夜になると満天の星を見ることができます。また,中国人は近づきにくいと思っている人もいるかもしれませんが,実はとても親切で,人との交流が好きな人が多いのも事実です。こちらに来ることで,中国のイメージが変わると思います。

田中さん田中研究員

(清水)インドは多言語,多民族,多宗教の国です。また,広大な国土であることから,さまざまな多様性を感じることができます。地域毎の独立性も強く,一つ一つの州がいわば独立した国のような立場にあります。民族やカーストにより,結婚など社会的な状況について強く影響を受けるといったこともあります。このようなことは日本では体験できないことですので,インドにきて,その多様性を実感して欲しいと思います。



(司会)最後に,ご自分の経験から,島大生への期待することをお願いします。

(清水)大学での専門はアジア地域文化でしたので,特に興味のあったタイには何回も訪問しました。海外に行ってみたいという気持ちがとても大切です。これまで、インドで3年近く,生活しましたが,海外で生活することで,自分の人生が豊かになったと思います。学生の皆さんには,時間がある,今,様々な経験をしてほしいと思います。

(田中)学生であるからこそ,いろんなところに行ける時間があります。お金がないということも,工夫次第でなんとかなるものです。社会人となってからのネットワークも重要ですが,若い人同士でのコミュニケーションにより,互いに大きな刺激を受けること間違いなしです。自分で関心あること,行ったことのないところ,など,積極的に挑戦してください。



(司会)ありがとうございました。

 

 

 

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